梅野記念絵画館へは5月初旬に作品の搬入のために行き、会期中の8月には2回訪ねることができた。さらに会期終了後に作品の搬出のために行くことになっている。
今年で19回目となる「私の愛する一点展」と題するこの展覧会は、初代館長・梅野隆氏が考えた企画であるという。同館「友の会」の会員が、自分が所蔵する思い入れのある作品1点(ただし自作は不可)を出品するというユニークな展覧会である。そのジャンルは、油彩画、水彩画、日本画、現代美術、彫刻、彫金、写真等、様々な分野に渡っており、今年は66点が出品されている。それぞれが魅力溢れる作品であると思ったが、私は叔父の絵がこのような様々な作品と並んで一堂に会したのを観たのは初めてのことだったので、そのこと自体に不思議な魅力を感じた。
以前のブログにも書いたとおり、この絵にはいろいろ不明な点があるものの、制作年はおそらく私が当初考えたよりも5年早い1950年で、同年の日展と光風会展に出品したものであると考えられる。そうだとすれば、今回、実に69年ぶりに鑑賞者の眼に触れることになったわけである。私はそのことだけでも不思議な感動を覚える。当時画家は41歳。モデルとなった妻・榮子は29歳である。叔父が12歳年下の妻をどう見ていたのか、ふと考えさせられた。
この展覧会には図録があって、作家の生年順にページが進んでいく構成になっている。偶然とは言え、西村俊郎作品の一つ前のページには廣本季與丸(ひろもと・きよまる 1908~1975)氏の作品が載っていた。廣本氏は叔父の世田谷のアトリエによくいらしていた画家だった。そんなことにも不思議な縁を感じたのである。 (2019.8.27)
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