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執筆者の写真西村 正

「写実画壇展」@上野の森美術館 

更新日:4月16日



 

 新年度は上野の森美術館の「写実画壇展」で明けた。実はこの展覧会を観に行くのは私にとって二回目である。一昨年の同じ時期、この会の50周年記念展を観た。その時の図録の挨拶文には、「写実画壇」という名のこの会が「1972年に里見勝蔵の提唱によって設立されたこと」、「里見の没後もこの会の『写実の”実“を大切にする方針』が受け継がれ、多様な表現を包み込みながら今日に至っていること」、「一時の美術思潮やマーケットの流れに振り回されることなく、人から発して実を帯び美に至る姿勢(命名の趣旨)」が述べられている。1972年と言えば、西村俊郎が海外の展覧会に出品し始めた頃である。叔父がこの会の存在を知っていたかどうかは定かでないが、この挨拶文に書かれた「写実画壇」の趣旨は叔父が繰り返し語ってきた彼の絵画制作への信念そのものではないか! その点で私は、この「写実画壇展」に大きな関心を持っているのである。

 

※以下の作品紹介は、すべて私の好みで入手したポストカードによるものです。作品の順番にも他意はありません。

 


  石原彰二「アルバセテ郊外」M80         山内滋夫「夏草」77.6×194cm


 


富澤文勝「樹間 春を待つ」72.7×121.2cm       

                   長谷川瑞吉「箱・ズッキーニ・じゃがいも」P120



  香野雄吉「やさしさの行方」F80    伊藤和子「Between Silence & Light --夏の光--」F50



 会場には全部で86点の大作が並んでいた。ここに紹介したのはそのうちのほんの一部分に過ぎないのだが、これらの作品を観ても、一口に「写実」と言っても表現は実に多様で自由なものだと感じる。生前の叔父・西村俊郎とそんな話ができたらよかったのになぁとしみじみと思わせてくれる展覧会であった。

 別室の「小品展」には4号以下の作品が所狭しと並んでいたが、どれもなかなか魅力的で、自分の家に掛けたくなるような作品が多かったことを付け加えておきたい。 

2024.4.15

 

 なお、一昨年の同じ時期にも私は「写実画壇展」の紹介記事を書こうとしたのだが、書けずじまいに終っていた。以下の作品は「写実画壇50周年記念作品集2022」から接写したものだが、参考までに紹介しておきたい。



里見勝蔵「イビザの海岸」1963年、P40  中村伝三郎「黄色のある静物」1963年頃、F20







 小泉清「煙草を喫う女」1955年頃、F8        富澤文勝「卓上のカキ」F40

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