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「北海道新幹線」で考えたこと

  • 執筆者の写真: 西村 正
    西村 正
  • 2022年4月17日
  • 読了時間: 3分

 2016年3月26日、新青森~新函館北斗間の開業によって、ついに新幹線が北海道に乗り入れた。私自身は2017年の8月末に初めて東京から新函館北斗まで新幹線で行った。4時間余りの、あっけないほどの旅であった。と言うのも、私が二十歳で初めて北海道に行ったときは、上野~青森の夜行急行列車が12時間、青森~函館の青函連絡船が4時間で、乗り物に乗ってるだけでも実に16時間かかる旅だったのである。北海道は私の両親の故郷であり、我が家のルーツとも言うべき土地であると言っていい。私自身は北海道に住んだことはないのだが、二十歳の時の北海道行き以来、何回もこの地に足を運んできた。一番の目的は墓参りである。小樽にある我が家の墓は百年近く前に私の祖父が建てたものである。

 現在、私が小樽に行くには三つのルートがある。①が飛行機と列車利用で羽田→新千歳→小樽、②は自家用車とフェリーで横浜→新潟→小樽、そして③が鉄道だけで行く方法である。青函トンネルができて「北斗星」等の直通の夜行寝台特急が走っていた頃は、それも一つの方法であった。しかし今はどうだろう? 新幹線の札幌延伸が実現していない今は、もちろん気動車特急に乗り換えて行くことは可能だが以前ほど魅力的ではなくなったように思う。今回こんな話題を取り上げたのは、JR線の小樽~長万部間が新幹線の札幌延伸開業と引き換えに廃止されることが今年の3月末に決まったというニュースに接したからである。

 今から50年近く前、二十歳の私が初めて北海道の親戚を訪ねたとき、皆は「新幹線が来る」という話題で盛り上がっていた。小樽の叔父は「新幹線はもう小樽回りのルートに決まっているんだ」と語り、洞爺湖や伊達の従兄弟たちは「いや南回りだ」と言って、近くにできるはずだという駅の名前を口にしていた。まだ青函トンネルもできていない国鉄時代の話である。「ディスカバー・ジャパン」で活気づいていた時代でもあった。経済成長への地元の期待は大きかった。「平行在来線問題」が語られることは全くなかったように思う。小樽の叔父が言ったとおり新幹線は北回りの最短ルートに決まったが、仮称・新小樽駅は小樽の市街地からかなり離れた場所に計画され、小樽は在来線の終着駅になろうとしている。

 新幹線というものはどうも飛行機に似ているようだ。大都市同士を結ぶものであって地域住民の足ではないのだ。経済効率を考えればやむを得ないことなのかもしれないが寂しいことである。以前のブログ記事に、我が家が小樽から洞爺湖に引っ越した話を書いたことがあったが、ある時、洞爺湖温泉にいる従兄に「当時は小樽から洞爺湖にはどこを通って来たんでしょう?」と訊いたことがあった。「いや~、やっぱり汽車で長万部を回って来たんだ~」との答えを聞いて驚いたものである。当時は函館本線の函館~長万部~小樽~札幌こそが主要幹線だったわけだ。大正時代頃は函館、小樽、札幌の順に人口が多かったのだ。今回廃止が決まったという長万部~小樽は通称「山線」と呼ばれる。ニセコも余市もこの沿線にある。予定されている2030年に札幌まで延伸開業されたら私は新幹線で小樽に行くだろうか? 50年前に抱いた想いを振り返ると何か複雑な気持ちになる。 (2022.4.17

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